対向流バーナーを用いて、粉砕したプラスチック粉体が高温に過熱された蒸気中で安定に火炎を形成することを確認した。バーナー出口直径は10mmで、バーナー間隔は火炎に与える伸長率により決定した。上部バーナーから常温の空気で搬送された粉体流を、下部バーナーから高温に過熱した酸化剤を供給した。使用したプラスチック種は、年間廃棄量を考慮し、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、PETの4種とし、5μm~200μmに粉砕したものを用いた。粉体は、微量フィーダーを用いて流れに精度よく供給した。蒸気は、IHヒーターを用いて1000℃まで加熱し、大気と同じ酸素組成となるように21%の酸素を混合した。しかし、バーナーへの熱損失や酸素の混合により、バーナー出口での蒸気温度は最大750℃であった。よどみ面近傍の流れはPIVを用いて等方性、対称性を確認した。 火炎はよどみ面近傍に形成され、輝炎の強い発光が観察されたが、径の小さな粉体では、不輝炎である平面状の予混合を観察することができた。ただし、難燃材料であるPETでは安定した火炎を形成することが困難であった。粉体の径が大きくなると火炎は不安定になる現象がみられた。酸化剤に蒸気を用いた場合、高温空気よりも消炎限界が狭くなる結果が得られたが、熱移動においてふく射熱移動が重要である粉体燃焼では、より高温の蒸気を用いることにより消炎限界の拡大を期待する。
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