研究概要 |
実施計画に従って大気圧下でのシクロペンタン系における実験と高圧下での天然ガス系における実験を行った.シクロペンタン系での実験では温度を-22℃から+6℃の間で1K程度の刻みで変化させ,各温度レベルにおける結晶成長を観測し,系の温度条件に依存した結晶モルフォロジーの多様性と結晶成長速度について系統的な実験観測データを取得することができた.ガラス製の試験容器内に人工海水とシクロペンタンの液相とを積層させ,この液・液界面における水和物の結晶成長過程を水平方向から実体顕微鏡を用いて観察を行った.人工海水の濃度は3.5mass%から飽和水溶液となる30mass%までの範囲にて実施した.この一連の実験結果から,結晶モルフォロジーは海水の濃度が異なる場合でもサブクール度(平衡温度と実験系の温度との差)を揃えればほぼ同様となることが示された.一方で結晶成長速度はサブクール度を揃えても濃度に依存して異なることがわかった.結晶モルフォロジーは結晶成長速度と核生成速度の両者によって決定されるものであるため,前述の実験事実から海水中の塩が系の核生成速度に大きな影響を及ぼしていると解釈される. また,高圧系での実験では海水系での実験に先立って純水系の実験を行い,その後海水系での実験へと移行した.高圧下での海水系での実験では,海水・天然ガス界面において優先的にハイドレートの生成・成長が起こるということを確認することができた.
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