研究概要 |
繊維強化複合材料において,自動繊維束配置装置(Automated fiber placement)の援用により,近年は曲線状の強化繊維を有する構造材が作成可能となっている.曲線状の繊維形状は,部材内部で局所的な異方性構造を有し,従来の均質な異方性材よりも目的に特化した構造材料の作成が可能である.本研究では, (1)曲線状の強化繊維を有する複合材の新たな設計手法 (2)簡易実験モデルの作成方法の提案 (3)同等の結果を得るための曲線状繊維以外の局所異方性構造の提案 (4)圧電振動子の局所異方性化によるモード形状制御 が主な目的であった.(1),(2)の項目に関しては平成22年度の研究において成果が得られた.そのため,平成23年度では(1)の発展と(3),(4)の項目に取り組んだ. (1)の発展に関しては,平成22年度段階では,曲線状繊維の表現に三次元多項式により表現された曲面形状を用いていたが,本年度ではより自由度の高いスプライン関数を用いて曲面形状表現を行い,昨年度の結果と比較した.その結果,本年度の手法は昨年度より高い性能を有する曲線状繊維形状が設計可能であることが分かった.しかしながら,本年度の手法では昨年度の手法よりも曲率が大きくなりがちであり,効果的な制約条件が必要であることがわかった. (3)の項目に関しては,アルミニウム板をCFRP材で部分的に強化したハイブリット板や,CFRP材の厚さを局所的に変化させた非均一厚材を作成し,局所異方性によるモード形状の変化を確認した.また,遺伝的アルゴリズムを用いた,振動数に関する最適化プログラムを構築した.これらにより,最終的な目標である(4)に関する,基礎的な事項は達成されたといえる.また,(4)の応用として,モード形状も設計変数に含めたマイクロサイズのスマート複合材の統合的な設計手法を提案した.これらの有用性は実験・数値シミュレーションにより確認された.
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