研究概要 |
平成22年度は,機能性MRゲルを作製し,力学的特性を評価するための基礎実験を中心に取り組むことを目標として,期待する粘弾性特性変化が得られるような機能性照ゲルの作製方法について検討を行ったうえ,試作されたMRゲルについて,静的及び動的力学的評価実験を実施した.その結果,ゲルの硬化過程において,無磁場の場合と比較して磁場の存在下で硬化させた場合のほうが,明らかにMRゲルの特性が大きく変化し,鉄粉粒子が基質ゲル中に無配向に存在するよりも,磁界方向に整列させ,粒子同士が互いに近接した状態で保持されているほうが,MR効果が高いことが明らかとなった.磁界内で硬化させたMRゲルに対して静的及び動的試験を実施したところ,磁場存在下におけるせん断方向の静的復元力特性については剛性が最大で5倍程度まで,動的粘弾性特性については剛性及び損失係数が2倍程度まで変化することがわかった.また,特性の変化幅は混合する鉄粉濃度に依存し,基質と鉄粉との混合割合が特定の比率の場合に,MR効果が最も大きく得られることが明らかとなった.さらに,試験片の厚みを数種類に変えて作製し,特性の比較を行ったが,最も厚みのある場合の変化幅が大きい結果となった.ただしこれについては,結果のばらつきが大きく,試料の作製過程において磁場の印加方法に問題があったものと考えられるため,引き続き検討が必要である. 以上,機能性材料としての粘弾性特性変化を得るための試料作製方法,及び力学的特性を評価するための試験方法について,概略妥当な結果が得られたものと考えているが,より再現性及び信頼性の高い結果を得るために,今後引き続きMRゲルの作製方法及び試験方法の見直しを行う予定である.
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