研究概要 |
平成22年度は,ハイブリッドハプティックインタフェースの検討・開発を行った.豚の背最長筋や肝組織の切断実験により,ハプティックインタフェースに求められる最大提示力や応答性を明らかにした.本実験の結果より,高い降伏せん断応力を誘起可能なMR流体を用いる事とした.磁場解析を行い,MR流体に1[T]程度の磁場を一様に印加可能な切断感覚提示部を設計した.また,既存のナイフ等の術具は多くが磁性を有しており,MR流体に印加する磁場により術具に引力が発生するため,非磁性体のナイフを製作した.このナイフで,切断感覚提示部に入れたMR流体中の強磁性体粒子の鎖状クラスタを切断したところ,生体軟組織の切断感覚を提示するのに十分な抵抗力を発生可能であることがわかった.また,MR流体に交流磁場を印加したところ,高速な応答を得ることができ,生体軟組織の切断時に生じる,不連続的な切断現象を提示可能であることが示された. 切断感覚提示部を並進移動させるための2自由度並進モーションテーブルも開発した.本装置はパラレル機構で構成され高負荷・高剛性を有するため,電磁石を有し比較的重量のある切断感覚提示部を駆動する事が可能である.本モーションテーブルの基本動作実験により,数Hzの運動を模擬可能であることが示された. これらの切断感覚提示部とモーションテーブルを組み合わせて制御することにより,微細な細胞切断感覚から臓器全体の大変形挙動を提示可能な,ハイブリッドハプティックインタフェースが実現可能となる.
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