近年、MEMSデバイス、0402チップ部品に代表されるように、超小型部品が急激に増加している。一方、既存のチップマウンタは、単軸ステージを組み合わせる構成のため、稼動部が100kgに達する。そのため、繰返し位置決め動作の際に発生する振動のための除振装置、スペースが必要になり、消費エネルギーの増大が避けられない。本研究では、50gと超軽量な小型精密自走機構を独立三自由度でFF/FB制御することで高速位置決め動作を実現する。チップ部品の液中輸送ツールの開発も行い、チップ部品の実装の際の、発生振動、消費電力、装置サイズを1000分の1に低減できる新しい実装技術を開発する。 平成22年度は 1.ロボットの4cm/sまでの速度向上、再現性向上 2.チップ部品の液中輸送ツールの開発 の研究を行った。以下に、研究成果の概要を述べる。 1.従来のUの字型電磁石(2点接地)では、傾きにより位置決め精度が極端に減少することが問題となっていた。本年度は、Y字型の電磁石(三点接地)の設計開発を行った。磁気回路モデルにより発生磁力を計算し、従来の磁力8Nから1.6倍の13Nを発生することに成功した。この電磁石の採用によりロボットの経路長に対する位置決め誤差(2σ)は、自重の2倍のツール搭載時で、従来の10分の1の1%ほとなった。 2.ワイヤーを流路内に配置し、ワイヤーの動きにより粘性力(摩擦)を解してチップを動かす手法を試みた。また、圧電リニアモータにより、液体を満たしたガラス管内をニードルを上下させ、基板上に液体を連続塗布するツールを開発した。水の10000倍以上の粘度を持つ、接着剤を100μmで塗布できることを確認した。また、30nmの測定分解能を持つ光エンコーダにより、ニードルをPWM-PI制御し、1mmのストロークを精度±5μmの整定時間を、46.4msとすることに成功した。10個/秒の効率で微小液滴を塗布できる。 国際学会ICPTに参加し、ディスカッションを行った。
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