研究概要 |
レオロジー物体の非把持形態による成形手法を提案し,成形メカニズムの力学的枠組みの構築と実機実験による検証を行った.外力に対する一時的な弾性変形と外力消失後に残存する塑性変形を共有するレオロジー物体の操り問題を取り扱い,プレートからの摩擦力と慣性力のバランスを積極的に管理し,非把持形態で対象物を成形する手法を提案した.この手法は,一般的なハンドやグリッパを用いた把持形態による成形手法とは一線を画し,対象物を掴む/摘むことがないため応力集中による物体破壊を誘発しにくいという利点を有している.これと同時に,簡素な剛体プレートをエンドエフェクタとして,マニピュレータ本体から遠隔的に対象物牽操作できることから,電気・電子・精密機器を搭載したグリッパやハンドの取り扱いが困難な環境(高温,多湿,電磁場,等)においても物体操作が可能であるという利点も兼ね備えている.はじめに,レオロジー物体の塑性変形に着目し,対象物の1次元多自由度粘性変形モデルを導入した.プレートに対して並進および回転の2自由度のみが与えられるという条件下における運動方程式を導出し,プレート対象物系の力学的枠組みを明らかにした.次に,対象物に1軸方向の拡張あるいは収縮変形を生成するためのプレート加速度に関する十分条件を示した.またプレートの周期運動により,連続的な物体変形操作を実現するためのプレート運動計画を構築した.以上の手法を実験的に確認した.高速アクチュエータにより駆動されるマニピュレータにエンドエフェイクタとしてのプレートを装着したロボットと対象物の変形計測用のビジョンシステムからなる実験システムを構築した。レオロジー物体として小麦粉で生成された対象物を使用し,提案手法によって,拡張あるいは収縮変形を生成できることを確認した.
|