研究概要 |
研究代表者はこれまでに肘部用ウェアラブルマスタスレーブ装置,手指用パワーアシストグローブを開発している.本年度は,これらの知見に基づき機構を上肢全体に拡張したマスタスレーブ機構の開発を行った. 開発する機構は肩3自由度,肘1自由度,手首3自由度を有する上肢用装具を製作・使用した.各関節の駆動には各関節の動作範囲や配置スペースを考慮し,研究代表者らがこれまでに開発した種々の人工筋を使用した. 従来の直線運動を行う人工筋としてはMcKibben型空気圧ゴム人工筋が一般的であるがMcKibben型人工筋は収縮力が大きい反面,単位長さあたりの収縮量が乏しいという問題があった.本装置は身体という限られたスペースに人工筋を配置するため,より大きな収縮量が得られる人工筋が必要となるため,肩内外転にMcKibben型人工筋を使用する以外は伸長型空気圧ゴム人工筋(肘屈伸,肩内外旋,手首掌背屈,橈尺屈),積層型空気圧ソフトアクチュエータ(肩屈伸)を使用した. McKibben型空気圧ゴム人工筋とリンク機構を使用する場合,大きな収縮力を生かすことで少ない収縮量で所望のトルクならびに可動域を実現する収縮力ベース型のメカニズムとなる.しかしこの場合人工筋の大きな発生力を受け止めるフレームには高い剛性が求められるため機構の重量増加を招く.伸長型空気圧ゴム人工筋,積層型空気圧ソフトアクチュエータを使用すると大きな変位量,小さな発生力で所望のトルクならびに可動域を実現する収縮量ベース型のメカニズムとなるため,フレームの軽量化が可能となり高い自由度を有しながらも3kgという軽量な機構となった.
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