研究概要 |
本研究では,パン回転可能なアクティブカメラを搭載する車輪移動ロボットを制御対象とし,研究代表者らが既報において提案した,動く注目対象に遅れない追従視制御法を応用することによって,高速高精度な追尾システムを開発することが目的である.本年度は,前年度から持ち越した制御対象モデルの検証を実施したうえ,制御用システムの構築と並行して,特に視覚追尾制御系,関節可動限界を考慮した制御手法,奥行き推定手法の各構築に取り組み,以下の成果を得た: 【視覚追尾制御系の構築】 前年度構築したパン回転を固定した場合の視覚追従制御系と同様の設計では,制御則中の重要な行列が特異となることが明らかとなった.そこで,画像から検出した特徴点に対して仮想重心点を導入し,その視覚サーボをメインタスクで実行し,各特徴点の視覚サーボをサブタスクで切り替えながら実行するという制御戦略によってこの問題を解決した.静止する注目対象に対して実験評価が完了したため,この成果を次年度の国内外学術会議にて発表する予定である.なお,パン回転を固定した場合に得た前年度成果は,学術雑誌に論文投稿し,条件付き掲載の判定を得て現在改訂版を投稿準備中である. 【関節可動限界を考慮した制御手法の構築】 制御系の性能低下・不安定化を避けるため,パン回転の制御について関節可動限界を考慮する必要がある冗長自由度を利用して,関節可動限界を厳密に回避する一方,可動範囲を最大限活用できる制御手法を構築した.この成果は,国内外学術会議にて発表するとともに,学術雑誌に投稿し2件掲載された. 【奥行き推定手法の構築】 制御対象は単眼システムであるため,カメラからマーカーまでの距離(奥行き)を推定する必要がある.従来の推定手法を用いるとき,制御対象に周期的な追従視動作を実行させることによって推定精度が向上することを実験的に示し,この成果は国内学術会議にて発表した.
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