研究概要 |
粒子状の磁性体を外部磁場で動かすことにより臓器と腹壁の間を移動する小形医用ロボットの開発を通じ,体内での駆動,移動,変形を自在に実現できる磁性粒子流体を開発し,新たな機能材料として確立するための研究を行った.該当年度では,金属材料による中空球体粒子を採用した.球状ワックス表面に磁性材料をコーティングし,熱処理により形状生成した後,ワックスを除去することで内部が中空となる.材料選択,熱処理条件等をパラメータにして,直径1.5mm,3.0mmの2種の粒子を用意した.パルス磁場を用いた外部磁場駆動による小型体内ロボットに搭載し,評価を行った.このロボットの5角形ホイール内部に,水と中空鉄球多数個を搭載した.水より比重が小さい中空鉄球は,磁場の無い状態ではホイール上部に集まる.パルス磁場を与えると,中空鉄球は磁力と浮力の関係から磁場の方向に素早く移動する.中空鉄球がホイール内側上部の内壁と衝突し,ホイールがロボット内で回転する.回転後ホイールは1/5回転(72[deg])した状態で停止する.磁場を無くすと中空鉄球は浮力によりゆっくりホイール上部に戻るため,ロボットの位置やホイールの回転角度は変わらない.製作した小形体内ロボットのサイズは,23×15×d15[mm]である.印加磁場0.2[T]のパルス磁場を印加したところ72[deg]回転し,連続2回転の移動が確認され,中空球体粒子の有効性が確認された.
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