H22年度、高温超電導線において直流条件に交流条件が重畳した直流交流混合電磁条件における損失評価結果の実験値と数値実験値がよく一致することから、損失の評価方法と数値実験方法が妥当であることが示された。より超伝導エネルギー貯蔵装置に近い形状であるソレンイドコィルにおける損失を数値実験の手法を用い導出した。具体的にはコイルを構成する超伝導線材の直流・交流電流値、直流・交流磁界、磁界印加角度を電磁界解析により導出し、この条件における各層の損失をそれぞれ導出し、これらの総和よりコイル全体に生じる損失特性を導出した。各線材の臨界電流値とn値は直流電流通電時の電磁条件をもとに導出した磁界の大きさと印加角度から実測値を用い決定した。また、計算量を軽減するために各層における交流損失を補完し数値計算することにより計算精度を低下させず計算量を約1/5程度まで減少させて計算を行った。 数値実験結果を評価するために積層型ダブルパンケーキコイルのコイル間距離を変化させることによるコイルの損失特性への影響を実験的に評価し、結果数値実験結果とほぼ一致することを確認した。コイル形状においても数値実験方法が妥当であると判断したことより、積層型ダブルパンケーキコイルの積層数、積層間距離ダブルパンケーキコイル形状などのコイル形状を変化させたときの損失特性について導出を行い、形状が変化することによりコイル内のどの部分の損失が増加し損失に影響を及ぼすか運転条件を基に評価を行った。この結果より、従来の交流通電のみ行っている場合では想定していない直流成分が及ぼす影響について考慮する必要があることが示された。
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