研究概要 |
(1)エナジーハーベスティングモジュールの設計・開発:コイル形状を空芯Brooksコイルに限定し,目標の回収エネルギーに対する必要なコイル直径の設計法を確立した。60HzにおけるICNIRP2010ガイドライン値200μTの場合,80mm以上の直径が必要であることを見出した。また,回収電力はコイル直径の5乗に比例することを見出した。 (2)電力貯蔵安定化回路の開発:エナジーハーベスティングモジュールと整流回路の構成法を検討した。開発したモジュールにおいて,利用可能な磁界振幅が24.7μT以上の場合,80%以上の電力回収効率が得られた。磁界振幅が10μT以下の場合,モジュールの構成を並列共振回路とすることを提案した。従来型の直列共振回路と比較し最大30%程度の電力回収効率向上が得られた。 (3)エナジーハーベスティング装置の実装:5V出力の環境発電用DC-DCコンバータを組み合わせたエナジーハーベスティング装置を製作した。45.3μTの磁界振幅で5VのDC出力電圧を確認した。一方,装置に接続する負荷によって供給可能な電圧および電力が大きく異なった。この原因を,今回使用したDC-DCコンバータの効率であることを明らかにした。負荷抵抗100kΩ,入力電圧40mVにおいて最も良い効率が得られたが30%が限界であった。 (4)超低消費電力IC駆動のデモンストレーション:超低消費電力IC(MSP430 eZ430-RF2500-SHE)を組み合わせた,無線通信デモを行った。60Hz,21.2μTの一様磁界から回収した電力を用いて,このICを駆動させた。回収電力のみで,ICに内蔵された温度センサの情報をホストパソコンに送信するデモンストレーションに成功した。
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