研究概要 |
太陽光・風力発電は主に電力系統に連系して運転されるが,その発電出力は激しく変動することから,大量導入すると電力系統への悪影響が懸念される。本研究は,情報家電等が普及し,個別機器との情報通信が容易になるであろう将来を想定し,電力系統に繋がる負荷の消費電力を通信手段を用いて制御し,太陽光・風力発電の出力変動を系統全体で補わせることで,太陽光・風力発電の導入可能量を増大させる技術を確立することを目的とする。 本研究は,計算機シミュレーションを主体とした「研究(1):制御アルゴリズムの改良と適用効果の数値解析」と,試作・実験を主体とした「研究(2):可制御負荷の試作・運転」からなる。今年度は,研究(2)を重点的に進めた。まず,可制御負荷として今までは電熱ヒータを用いた電気温水器への適用を検討してきたが,CO_2冷媒ヒートポンプ式給湯機への適用に切り替えた。その理由は,COP=3以上が期待できる省エネ性から,今後の普及拡大が見込まれるためである。そこで,系統周波数やヒートポンプ式給湯機の貯湯槽の蓄積熱エネルギーを計測し,かつRS-232Cを用いた双方向通信により外部指令に基づきオン・オフ制御できるヒートポンプ式給湯機を試作し運転試験を行った。その結果,系統周波数や蓄積熱エネルギーを充分な精度で計測でき,かつ外部からのオン・オフ指令により制御できることを確認した。ただし,電気温水器の場合と異なり応答性が遅いこと,および勝手に過熱運転をやめてしまうことがあるという問題は未解決なので,来年度の課題としたい。
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