研究概要 |
1.バラツキが少ない微粒子の作製に向けた強磁性半導体の相分離ダイアグラムの研究 格子モデルを用いて強磁性半導体の相分離ダイアグラムの測定方法を提案し、実際に(GaMn)Asに応用することによって、GaAs格子中のMn原子の相分離ダイアグラムの測定に成功した。その結果、相分離エネルギーの実験値が分かり、第一原理計算による計算値とよく一致したことが分かった。さらに、このダイアグラムを用いて、粒子サイズと粒子間隔が均一なMnAs微粒子の作製に成功した。これによって、バラツキの少ない微粒子の作製方法を確立できた。また、同様な方法をGe結晶構造中に形成されたGeMnナノコラムにも応用できることが分かった。従って、本研究によって得られた手法は幅広い半導体:強磁性ナノ構造に応用できることを示すことができた。 2.近接場光による均一な強磁性ナノ微粒子の作製とデバイスへのう応用 熱処理中にレーザ照射することによって、バラツキが極めて少ない微粒子の作製に成功した。具体的には、波長1300nm,850nm,671nm,532nmのレーザを照射することによって、微粒子の中心サイズを2.6nm,2.4nm,2.29nm,2.16nmと精密に制御できた。特に、532nmのレーザ照射するときの粒子サイズ分布は2.16nmにおけるδ関数であり、極めて正確に微粒子を制御できることが分かった。また、粒子直径(D)とレーザのフォトンエネルギー(E)の間にE~D^2の関係があることも分かった。 3.非磁性電極・MnAs微粒子・非常性電極の二重トンネル接合における磁気抵抗効果 閃亜鉛鉱型MnAs微粒子を含む二重トンネル接合を作製し、上部と下部の電極が非磁性であるにもかかわらず、二重トンネル接合の数%の磁気抵抗効果を観測した。この磁気抵抗効果の温度依存性は微粒子を介したコートンネルと明瞭な相関があるため、微粒子のコートンネル過程と関係があることを示した。
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