研究概要 |
本研究の目的は,呼気中に含まれる微量成分の検出が可能な装置を開発することである.その方法として,導波機能を有する中空伝送路により構成した高感度かつ超低容量のガスセルを用いる手法を採用し,今年度においては次の2つの事項について検討を行った. 1.細径中空光ファイバの低損失化および分光測定系の最適化 分光測定用プローブとして使用する中空光ファイバ内面の反射率を増強させるために,干渉効果により特定の波長領域においてきわめて高い反射率が得られるようにポリマー層の厚さを選択した.カテーテルへの挿入が可能な直径0.5mm程度の細径ファイバを製作するためのポリマー薄膜形成条件の最適化を行った.また,可とう性が高く,破損の際にも安全な樹脂チューブを母材とするファイバについてもその製法の検討を行い,良好な特性のファイバの製作に成功した. 2.減衰全反射(ATR)プリズムの設計,製作と評価 中空光ファイバの先端に取り付けて使用するATRプリズムについて,血管内壁の測定に適したものが得られるように設計・試作を行った.入射端面に傾斜角を設けることによりプリズム側方の血管内壁の測定が可能な形状について,光線追跡法による設計を行い,その結果に基づく形状のプリズムの試作を行った.その結果,側方への光照射が得られることがわかった.また従来のSiと比較して低屈折率であり,より小さい反射損を示すことが期待されるダイヤモンドで構成したプリズムを試作し,光学特性および化学的耐久性において,より優れた特性が得られることを確認した.
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