本研究では、個人レベルで生活環境における各種化学物質のその場(on-sito)計測可能とし、環境医学的な見地から健康的な生活環境の構築を支援するためのガスセンシングデバイスを提案することを目的とし、生化学式のガスセンサの開発を行った、この目的には、1ppb以下の超高感度にて、環境中のガスを選択的・連続的に計測する技術が必要となる。そこで、モデル成分として各種の製品群から環境中に放出されるホルムアルデヒドを対象とし、高輝度紫外線LEDと各種の光学フィルタ、光電子増倍管、多分岐の光ファイバ及び光ファイバプローブからなる小型のNADH蛍光検出型用光学系を構築し、プローブ先端に酵素固定化膜を有するフローセルを装着することで、生化学式のバイオセンシングシステムを構築した。本センサはホルムアルデヒド脱水素酵素の反応により生成される還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)を、上記の光学系にてモニタリングする. 特に、酵素固定化膜にホルムアルデヒド脱水素酵素に加えてギ酸脱水素酵素を共固定化することで、ホルムアルデヒド脱水素酵素の反応にて生成されるギ酸を、再度ギ酸脱水素酵素をにて分解し、ホルムアルデヒド1分子から、最大でNADH2分子を生成する手法にて感度の向上を図った。この結果、ホルムアルデヒド脱水素酵素のみを用いた場合に比して、同レベルのホルムアルデヒドガスに対する出力が向上し、in vitroにおける特性評価の結果、750pptという超低濃度からモニタリング可能となった。
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