研究課題
現状の共鳴トンネルダイオード(RTD)を用いたテラヘルツ発振器は、シリコンレンズを介した出力取り出しにより、指向性の劣化とレンズ表面での出力反射などが起こるため、発振出力を有効に利用出来ていない。そのため、3次元的に集積したアンテナ構造により放射ビームの制御を狙い研究を行った。ビーム制御のための3次元的な構造を持つRTD発振素子として、発振素子真下のInP基板の薄膜化と、3次元的にマイクロサイズの八木アンテナを集積することによる指向性の向上を提案した。八木アンテナを形成するアレイエレメントを低誘電体(MEMS用レジストSU-8)の積層により3次元的にスロットアンテナの直上に集積し、積層誘電体と同程度の誘電率を持つホワイトポリエチレン(HDPE)を支持基板として貼り付ける様な現実的な構造を設計した。この構造に関して、誘電体の誘電損を含んだ放射パターンのシミュレーションを行ったところ、アレイエレメントを3つ配置したときに放射電界がアレイエレメントのある方向に良く集中し、最適なHDPEの厚さの時、指向性は突端で11dBi得られることが分かった。また、誘電体はそれほど厚くないため、それによる損失は1割程度と小さい事が分かった。従来のシリコンレンズを介して出力を取り出す方法では、レンズ表面での反射等によって全出力の1/10程度しか有効に利用することが出来なかったが、この方法を用いることによって、5割以上の出力が良い指向性で取り出せることを見出した。素子の作製プロセスの開発では、剥離が酷く積層が難しい感光性BCBからSU-8への誘電体の切り替えを行った。それに伴い、SU-8の積層時やダイシングによる素子分離におけるSU-8の剥離を防ぐための露光現像の温度条件の実験的算出、および、ダイシングの刃が当たる部分のSU-8部分除去など作製プロセスの確立を行った。
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