研究課題
本研究は,コンピュータと通信機能を有し,生体に装着可能な超小型高機能電子機器である“ウェアラブルデバイス”における新たな通信システムの基礎開発を行うものである.その手法は,生体を伝送路とし,1つのデバイスから超音波と微弱電界の両方を出力し,それらを併用したハイブリッド通信を行うものである.本手法は,“触れる”という直感的な動作により意識的に情報を選択して送受信可能で,電界通信の特長である生体の任意部位間で通信可能な便利さに加えて,特定条件下で通信範囲を限定可能な超音波通信を組み合わせることでセキュリティを高め,今後の普及が予想される本デバイスに関する応用が期待できる.平成24年度については,前年度,試作した通信回路において搬送波発生部分に問題が見られたためその改良を行い,超音波通信により適した通信方式として位相偏移変調(PSK)を導入した回路を設計・製作した.また,電界通信についてはこれまでの回路を再度見直し,より安定した通信をできるよう改良した.今回製作した両通信を行う回路は別個のものであるが,両者ともワンチップマイコンによる制御を行なっているため,プログラムの書き換えと回路素子の微調整を行うことで,単一の回路にて両通信を実行することは可能である.また,実用アプリケーションにより近づけたシステムへの拡張として,ユーザビリティを考慮した装着形態を検討した.その際,電界通信に多重通信機能を追加する場合,現状のシステムでは装着できるサイズに収めることは困難であることが判明した.さらに,様々な状況における通信の1つとして,ウェアラブルデバイスへの給電中の通信状況について検証した.給電手法としては磁気共鳴を用いた手法で,ハイブリッド通信と相互影響を確認したところ,電界通信では給電による磁界でエラーレートの増加がみられたが,超音波通信ではほぼ影響がないことが確認された.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proceedings of ICEE2012 18th The International Conference on Electrical Engineering
巻: Vol.18 ページ: 1566- 1569
Proceedings of USE2012 The 33rd Symposium on ULTRASONIC ELECTRONICS
巻: 33 ページ: pp.449-450