研究概要 |
本研究は,ファクトリーオートメーション(FA),プロセスオートメーション(PA)への応用を目指した無線制御用ネットワークの開発を目的としている.実現目標は,今まさに普及しつつある制御用ネットワーク「EtherCAT」を無線に置き換えることである.このようなリアルタイム無線通信システムの実現に向けては,無線制御用ネットワークに求められる新しい機能要件の抽出,それを実現する無線通信方式,およびそれを動作させるソフトウェア,ハードウェア技術が必須である. 今年度は,リアルタイム無線制御方式の検討と無線制御用ネットワークの設計を行った.リアルタイム無線制御方式の検討では,Matlabを用いてシミュレーションを用いて通信方式の検証を行った.具体的には,IEEE 802.11aを基に,制御用ネットワークにおける高速な周期性を利用してプリアンブルレスで無線通信可能なリアルタイムワイヤレスにおいて,制御周期やチャネル環境を変化させた場合のパケットエラーレートを評価した.リアルタイムワイヤレスでは,プリアンブルが担っているチャネル推定と周波数同期を送信等価によって,シンボルタイミング同期をEVMを評価関数とした総当たり方式によって,ゲインコントロールを現在受信中のパケットの前のパケットのゲインを用いることで実現した.シミュレーションの結果,プリアンブルレスでの無線通信が実現可能である見通しが確認された. 無線制御用ネットワークの設計は,実際の制御用ネットワークの利用者にヒアリングを行いながら行った.ヒアリングの結果,本研究で対象としていたマスタ・スレーブ型の通信だけでなく,既存の制御用ネットワークの一部のみを無線化可能な技術も求められていることが分かった.次年度以降に本年度得られた知見を反映させる必要がある.
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