研究概要 |
本研究は,ファクトリーオートメーション(FA),プロセスオートメーション(PA)への応用を目指した無線制御用ネットワークの開発を目的としている.実現目標は,今まさに普及しつつある制御用ネットワーク「EtherCAT」を無線に置き換えることである.このようなリアルタイム無線通信システムの実現に向けては,無線制御用ネットワークに求められる新しい機能要件の抽出,それを実現する無線通信方式,およびそれを動作させるソフトウェア,ハードウェア技術が必須である, 今年度は,平成23年度に設計したGNU RadioとUSRP2を用いてリアルタイム無線制御方式の実装を進めてきた,当初の計画では平成24年度に実装を終了する予定であった.しかしながら,実装の過程においてソフトウェア無線の性能的問題により部分的にしか実装が完了しなかった.GNU Radioは信号処理を全てパーソナルコンピュータ上のLinuxで行う.現在のLinuxはハードリアルタイム処理をサポートしていないため,高いリアルタイム性が求められるリアルタイム無線制御方式の一部の実装が困難であった.具体的には,シンボルタイミング同期によるFFT開始点の抽出の実装で問題が発生した. これまではハードリアルタイム処理を要する無線通信をソフトウェア無線で実現する場合は,FPGAを用いることが一般的であった.しかしながら,パーソナルコンピュータによって実現されたアプリケーションプラットフォームの柔軟性を無線通信技術で最大限に活用するためにはGNU Radioの枠組みのままパーソナルコンピュータ上でハードリアルタイム処理を実行できることが望ましい.このような観点から,今年度はパーソナルコンピュータ上でハードリアルタイム処理を行う仕組みの研究を行った.
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今後の研究の推進方策 |
これまではハードリアルタイム処理を要する無線通信をソフトウェア無線で実現する場合は,FPGAを用いることが一般的であった,しかしながら,パーソナルコンピュータによって実現されたアプリケーションプラットフォームの柔軟性を無線通信技術で最大限に活用するためにはGNU Radioの枠組みのままパーソナルコンピュータ上でハードリアルタイム処理を実行できることが望ましい.このような観点から,パーソナルコンピュータ上でハードリアルタイム処理を行う仕組みの研究を行った上で,リアルタイム無線方式の実装に再度取り組むことを検討している.
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