平成25年度は前年度に行った、B92量子暗号プロトコルの安全に取り出せる鍵レートををRennerによる安全性解析手法を用いて解析しなおして、従来の解析よりも高い鍵レートを達成できることを明らかにした研究を2014 IEEE International Symposium on Information Theoryで発表した。その研究はキュービット数が無限であると仮定した漸近的な解析であったが、25年度は有限のキュービット長で安全に取り出せる鍵レートを解析するために、研究代表者が以前行ったBB84量子暗号プロトコルにおいて有限キュービット長での鍵レート解析手法を、B92プロトコルに適用するためにどのように改変すればいいか解明した。実際の鍵レートの算出には数値計算が必要だがそれは25年度には終わっておらず、26年度に完遂する。また、25年度は、Tomamicchelらによる単一光子BB84プロトコルの有限キュービットでの鍵レートの解析における区間推定手順を改良して、同一条件下でより長い鍵を安全に取り出せることを明らかにし、QCrypt 2013で発表し、IEICE Communications Express誌に雑誌論文として発表した。
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