| 研究概要 |
本研究では,次世代の移動通信システムにおいて,情報理論に基づく新しい多元接続方式を確立するため,低符号化率の誤り訂正符号とユーザ個別のインターリーバによりユーザ分離を行うインターリーブ分割多元接続(IDMA)の高度化を検討する.本年度は,1.情報理論に基づくIDMAの限界性能の追求,2.IDMAの伝送速度を更に向上する高能率伝送技術の確立,に焦点を絞り研究を行った.具体的な内容は以下の通りである.
1.情報理論に基づくIDMAの限界性能の追求
IDMAにおける低符号化率の誤り訂正符号において,複数の符号について情報理論に基づく解析手法を導入し,収束特性を比較することで様々な環境下で最も優れた特性を実現する符号を明らかにした.また,通信容量を最大化するように,各ユーザに符号を割り当てる方法を提案し,シミュレーションによりその有効性を確認し,IDMAの限界性能について追求した.
2.IDMAの伝送速度を更に向上する高能率伝送技術の確立
インターリーバのみが異なるIDMAストリームを多重するインターリーブ分割多重(IDM)と,適応周波数リソース割り当てを適用した直交周波数分割多重(OFDM)IDMAを提案した.提案方法では,送信機において,移動通信特有のマルチパス遅延波を考慮に入れて,受信レベルの高いサブキャリアのみを各ユーザが使用するサブキャリアとして適応に選択する.さらに,その際に各ユーザのSINRも考慮に入れることで高能率化を図る.また,選択したサブキャリアに対してIDMを適用することで,さらに伝送効率を向上する.シミュレーションにより提案方法の有効性を確認し,IDMAの高能率伝送技術について明らかにした.
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