研究概要 |
本研究では,次世代の移動通信システムにおいて,情報理論に基づく新しい多元接続方式を確立するため,低符号化率の誤り訂正符号とユーザ個別のインターリーバによりユーザ分離を行うインターリーブ分割多元接続(IDMA)の高度化を検討する.本年度は,1.IDMAの伝送速度を更に向上する高能率伝送技術の確立,2.性能と計算量の観点での送受信機構成の最適化,に焦点を絞り研究を行った.具体的な内容は以下の通りである. 1.IDMAの伝送速度を更に向上する高能率伝送技術の確立 平成22年度での検討をさらに推し進め,IDMAと,複数の送受信アンテナを用いて信号を空間多重するMIMO技術を組み合わせたMIMO-IDMA伝送において,インターリーバのみが異なるIDMAストリームを多重するインターリーブ分割多重(IDM)を導入する新しい多元接続方式を確立し,シミュレーションにより有効性を確認した.また,その方式の無線伝搬環境に応じたパラメータ設計法についても明らかにし,高能率伝送を実現するための空間多重及びIDMストリーム数を明らかにした.また,複数基地局が連携するCoMPとの組み合わせについても検討を行った. 2.性能と計算量の観点での送受信機構成の最適化 上記で検討した新しい多元接続方式を実現するための受信機の構成について,チャネル推定器を繰り返し処理に加える構成をシミュレーションにより検討し,複数の構成において性能の評価と計算量の試算を行い,性能と計算量の観点で最適な受信機構成を明らかにした.また,IDMAにおいてパケットを再送する際の送信機構成・制御についても検討し,再送制御を行う際の受信機について新しい構成を提案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年間の本研究課題において2年間が終了し,すでに,(1)情報理論に基づくIDMAの限界性能の追求,(2)IDMAの伝送速度を更に向上する高能率伝送技術の確立,(3)性能と計算量の観点での送受信機構成の最適化,についての検討が終了した.残る研究内容は,(4)送受信機構成の最適化の実験による実証,(5)システム性能の評価と実現のための必要条件の明確化のみであり,研究計画通りに順調に進展している.
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