研究課題
アレー信号処理のシミュレーションにおいて、多くの場合雑音が無相関であると仮定している。しかしながら、これまでの申請者の研究で、実際の受信機では雑音に相関があることが明らかになった。本研究は、実際のアレー受信機を用いることにより雑音の相関発生メカニズムを明らかにし、雑音の相関による到来方向推定精度への影響を評価した。その上で、受信機の雑音の相関など、現実的な条件下で、最適な電波到来方向推定アルゴリズムを自動的に探索する方法を提案した。新しい提案法は、進化論的手法である遺伝的アルゴリズムを用いて、電波到来方向推定の開発を自動化することが目的である。電波到来方向推定アルゴリズムとして遺伝的アルゴリズムを用いるのではなく、新しい電波到来方向推定アルゴリズムを開発するための手段として遺伝的アルゴリズムを用いることが特徴である。電波到来方向推定アルゴリズムは、使用される環境により、低SNR、低サンプル数、高相関など、要求される条件が異なる。そのため、それぞれの環境に最適な電波到来方向推定アルゴリズムが存在する。生物が、それぞれの環境において適したものが生存し、進化してきたように、要求される条件下で最適な電波到来方向推定アルゴリズムを開発するための手法を確立し、計算機デモンストレーションにより効果を検証した。提案法においては、まず、遺伝的アルゴリズムから受け取ったビット配列をポーランド記法を用いて電波到来方向推定アルゴリズムに変換する。次に、このアルゴリズムを用いて、設定した条件下における電波到来方向推定シミュレーションを行い、そのアルゴリズムの良さを推定誤差として定量化する。受信機の誤差に関する条件などは、この段階で提案アルゴリズムに組み込まれる。この誤差を遺伝的アルゴリズムに返すことにより、設定した条件下における最適な到来方向推定アルゴリズムが生成される。
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IEICE Trans. on Commun
巻: Vol.E94-B, No.2 ページ: 1280-1283
DOI:10.1587/transcom.E94.B.1280
http://researcher.nitech.ac.jp/html/175_ja.html