研究課題
センサネットワークやスマートグリッドの計測用センサ素子から信号を受け取り,適切な信号処理をする集積回路の設計をした.具体的な個々の応用に特化しない省電力化手法の提案と,その実現に伴う新たな問題解決のための汎用的な基盤技術を確立して,様々なセンサ・電力網において電力のオーバーヘッドを零とし,インフラ全体の省電力化に資することを目的とした研究である。具体的には,現在主流の半導体プロセスであるCMOSにより,MOSFETを低電圧動作さている。弱反転領域での動作となり,モデルの検討から設計手法,バラツキによる影響まで検討した。まず,モデルについては,従来明示されてなかった基板電位の影響を,解析的に明らかにしたモデルに置き換え,従来,報告者が設計してきた回路の有用性を改めて示した。また,そのモデルに温度の効果が含まれているものの,十分でないことを指摘するとともに,定数と考えられてきたパラメータが温度の関数であることを物性の知識から初めて示すとともに,実測によって検証を行って確認した。次に,上述の改善したモデルに基づき,既存の回路の温度特性を調べ,さらに耐環境性の高い回路設計を行った。0.6V動作で十分なダイナミックレンジを確保していたフィルタについて,温度のバラツキによる特性を検討し,感度が高いことが明らかになったため,変動を打ち消す回路構成を行った。具体的には,バイアス用の直流電圧源を,温度係数を打ち消すように温度によって電圧が変化する電圧源に置き換える原理を提案し,具体的な構成を示した。さらに新たな回路設計として,温度特性が問題にならないと考えられていたカレントミラーを詳細に解析し,MOSFETの拡散領域と基板との間のpn接合電流の影響を指摘するとともに,定量的に解析し,その電流を積極的に利用して,温度特性の改善を行った。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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電気学会論文誌 電子・情報・システム部門
巻: Vol. 133, No. 2 ページ: 245-250
10.1541/ieejeiss.133.245