研究概要 |
大規模WDM網において,光信号劣化(Physical layer impairment)を考慮して光パスを設足することは,重要な研究課題の一つである.そこで本研究では,光信号劣化を考慮して光パスを設定するために,強化学習を用いた動的光パス設定方式を提案する. 前年度は,強化学習を使用して光信号劣化を改善するために,強化学習の状態集合・行動集合・報酬関数を定義した.さらに,提案した方式の性能をシミュレーションで評価し,評価結果から,特定の条件下においては光信号劣化と公平性・サービス差別化を実現できることを示した.その一方で,特定の条件下以外では,方式の効果が不十分であるため,さらなる方式の改善が必要不可欠であることが判明した.しかしながら,光信号劣化と,公平性・サービス差別化は,一般にトレードオフの関係にあるため,その実現が難しい. そこで,最終年度である平成23年度は,強化学習に利用する設定パラメータが,信号劣化の改善,公平性改善,及び,サービスの差別化に対して,どのような影響を与えるかについて入念な調査を行なった.本調査によって,本方式を使用する環境と設定パラメータの関係性をいくつか把握することが出来た.特に,適切なパラメータを設定することができれば,上記の3つの効果を最大化できるようになった. それから,実環境で本方式を利用するため,強化学習で使用する状態数と行動数の削減を行なった.このとき,強化学習の性能を劣化させないような工夫を行なった.さらには,GMPLSプロトコルとの連携についても検討を行なった.具体的には,GMPLSコントローラと強化学習コンポーネントのインタフェースを構築した.このようなインタフェースの検討,および,これまでの評価結果から,提案方式が実環境で有効であることが判明した。
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