現在、無線通信システムにおいてディジタルシネマなどの超高精細な動画像データをより高速に、また安全に伝送することが求められている。特に、通信路状態の異なる複数の通信を有するメッシュ型の無線伝送において、より高画質に動画像を伝送することに注目が集まっている。本研究では、画像符号化、通信路符号化を融合するだけでなく、メッシュ型の無線通信及び暗号領域をも融合した画質の関係式を導出して画質を制御することで、超高精細な動画像データを高速かつ安全に伝送することを目的とする。本手法は、メッシュ無線通信と通信路符号化、情報源符号化を融合させたものであり、それぞれのスケーラビリティを組み合わせることにより、有効に動画像を通信することが可能である。 本年度は、前年度に得られた複数の通信路を有する無線伝送路の環境変動を考慮したMIMO通信システムを用いて、最適画質通信システムについての実装面からの評価を行った。特に、現存する無線システムとの互換性についての検討を行い、互換性を有した実装が可能であることを確認した。また、昨年度から行っている、暗号領域での演算を用いた暗号領域での演算を利用したセキュア画質制御についてコンピュータシミュレーションをもとに検討を行った。 これらの結果より、画像符号化、通信路符号化のみならず、暗号化を融合したメッシュ型の通信システムにおいて、セキュアでかつ高画質な画像伝送が可能であることが確認された。
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