研究概要 |
単独歩行が不可能であった中途失明者を対象として,安全に単独歩行を支援するシステムを研究開発する.中途失明者はメンタルマップの確立が困難であったり,不安や恐怖から単独歩行ができない場合が多い.本研究では,安全に歩行可能な通路地図に,危険な場所やランドマークなどの付加情報を追加したナビゲーションマップを用いて,より安全に単独歩行を支援することを目的とする.本研究では,対象者,利用環境,用いる地図情報についてそれぞれ3つのフェーズに分けて段階的に発展させていく.今回は核となる部分を範囲として研究開発する.具体的には,対象者を単独歩行可能な中途失明者とし,利用環境を病院や大学建物内とし,地図情報は通路地図に付加情報を追加したナビゲーションマップを用いる. 本年度は,複数のセンサ情報を用いた自己位置推定方法について提案し,システムへの実装,評価を行った.画像情報を用いた自己位置推定結果とスキャン式レンジセンサを用いた自己位置推定結果から,自己位置を決定するために,マップ類似度を定義し,マップ類似度による自己位置推定を行った.実験結果から,各センサの欠点を補い合い,より多くの環境で自己位置の推定を可能とした.さらに,スキャン式レンジセンサとコンピュータを用いて階段を検出し,何階にいるのかを推定した.階移動を含めた自己位置推定をシステムに実装し,1階から5階へ様々なパターンで移動した際の階の変化を推定した結果,階推定方法は有効であり,階移動を含めた自己位置の推定が可能であることを確認した.
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