研究課題
近年、不要電磁波除去対策として、数多くの電波吸収体が使用されている。本研究では、電波吸収体の実用での使用を想定し、マイクロ波帯において斜め入射特性を改善できる電波吸収体の設計法について検討を行った。具体的にはまず、支持材として使用する等方性電波吸収体の選定から始めた。次に、それより得られた等方性吸収体である抵抗膜を用い、その上に有限長の金属線を同方向に配列させた金属線配列材を積層させた試料を構成した。この試料について、入射角度が60゜の状態で、TE波、TM波両成分が整合可能となることを実験的に確認した。通常、等方性電波吸収体の反射特性は斜め入射の場合、入射波により異なった値となるが、上記で述べたように金属線配列材を用いることにより、斜め入射特性が改善できることを確認した。次に、40~60GHzのミリ波帯において電波吸収体の斜め入射特性が測定可能な装置を試作した。本装置では、高さ、幅、奥行きを各々1.5m、1.1m、0.9mの箱型としており、通常の実験室内に十分に収まるように設計した。また、測定試料台にコーナーリフレクタを取り入れ、斜め入射特性が測定できる工夫を設けた。これにより、送受信アンテナは固定した状態のままで、コーナーリフレクタを回転するだけで反射波の斜め入射の測定が可能となった。反射波の測定には、平成22年度に導入したスペクトラム・アナライザ(Agilent Technologies E4407B)を用いた。種々の形状の電波吸収体の反射特性を測定したところ、有効な結果を得ることができた。本装置は実用において非常に有効である。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (11件)
電子情報通信学会論文誌B
巻: Vol.J93-B、No.11 ページ: 1566-1569
http://search.ieice.org/bin/summary.php?id=j93-b_11_1566 & category=B & year=2010 & lang=J & abst=
IEICE Transactions on Communications
巻: VOL.E93-B ページ: 1851-1854