研究課題
近年、不要電磁波対策として種々の電波吸収体、電磁遮へい材が使用されている。本研究ではまず、電波吸収体の実用での応用を考え、マイクロ波帯において電磁波の斜め入射特性が改善できる電波吸収体設計法について検討した。具体的には、無損失材料である発泡材(厚み5.5mm)の上に等方性電波吸収体である抵抗膜(厚み126μm)を積層させた試料を作製し、さらにその上に有限長金属線を同一方向に等間隔で配列した金属線配列材を積層した試料を構成した。一般的に、等方性電波吸収体の斜め入射時の反射特性は、入射波偏波に依存し、TE波とTM波で異なった値を示すが、上記の金属線配列材を抵抗膜の上に配置することにより、偏波依存性をなくすことが可能であることを示した。また、金属線配列材の構造パラメータ(金属線長さ、金属線配列間隔)を調整することにより、他の入射角度においても電波吸収体の整合周波数を制御できることを実験的に確認した。また、本試料構成において、円偏波反射波の斜め入射特性についても検討した。次に、平成22年度に作製した40~60GHzのミリ波帯電波吸収体用の斜め入射特性測定装置を用い、種々の電波吸収体の斜め入射特性を評価した。本測定装置は、上部に送受信アンテナ、逓倍器、方向性結合器等から構成されるミリ波回路部を設置しており、試料からの反射波測定には平成22年度に導入したスペクトラムアナライザ(Agilent Technologies E4407B)を用いている。まず、測定試料台のコーナーリフレクタを回転させることにより、本装置の測定可能入射角度について検討した。その結果、入射角度が0°~80°の斜め入射の状態で電波吸収特性が測定できることを確認した。その後、種々の電波吸収体の斜め入射特性を0°~80°の範囲で測定し、有効な結果を得ることができた。以上の検討より、本測定装置が電波吸収体の斜め入射特性測定に有用であることを示した。
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IEICE Transactions on Communications
巻: Vol.E95-B、No.2 ページ: 631-634
DOI:10.1587/transcom.E95.B.631
電子情報通信学会論文誌(B)
巻: Vol.J95-B ページ: 488-492
巻: Vol.J94-B ページ: 771-774