本年度は光音響分光評価系の低温・真空測定環境導入による高感度化を図るとともにショットキー容量変化を検出する評価系の構築を検討した。 光音響分光評価系では容量性ハイインピーダンスセンサのジョンソンノイズおよび外来ノイズ(振動、音波等)の低減を目指し、測定試料および圧電素子の低温・真空環境下へめ導入を検討した。昨年度開発の評価系に低温測定用クライオスタットおよび試料温度制御系を追加することで試料温度80~370Kにおいて測定可能な評価系を構築した。低温環境下においては昨年度設計製作した信号検出系の使用が不可能なため、新たに低温動作可能な接合型電界効果トランジスタを用いた信号検出系を構築し、測定試料近傍において微小信号のインピーダンス変換を行うことで評価系の高感度化を図った。その結果、高温高圧合成ダイヤモンド結晶およびシリコンカーバイト結晶において良好な信号特性が得られた。 更にショットキー接合を形成した試料の結晶欠陥に捕獲されたキャリアを光励起し、その際のショットキー容量変化を検出する評価系の構築を検討した。この評価法は不純物導入がされた結晶評価が可能であるが、評価深さがショットキー接合深さに限られることから測定試料の評価面積にも依存するが、光照射による容量変化はわずか(〈3pF)であった。そこで参照容量を用いた差動検出系の構築を行うことで高感度化を図り、ポロンドープホモエピタキシャルダイヤモンド薄膜の評価を行った。
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