研究概要 |
強磁性体の強磁性共鳴周波数よりも遥かに高い周波数で応答可能で,かつ,微小領域情報を検出可能な近接場光を用いた磁気情報検出手法の開発を目的とし,光照射によって発生した表面プラズモンの共鳴状態が,外部磁界によってその状態を変化させる現象-磁気表面プラズモン共鳴効果-の導出,及び,それによる磁気情報の高速検出への応用を検討した.すなわち,表面プラズモン共鳴状態の変化による光電界強度の変化検出の検討を行った.本年度はエヴァネセント型表面プラズモン共鳴に関し,以下に示す成果が得られた. 1.エヴァネセント型表面プラズモン励起層 波長680nmのレーザ光を用いて,可視光領域においてエヴァネセント型表面プラズモンの励起が容易な表面プラズモン励起層について,ガラス基板上にスパッタリング法により作製したCu薄膜の膜厚最適化を行い,表面プラズモン励起層として適する材料及び試料膜厚を得た. 2.エヴァネセント型表面プラズモン共鳴周波数制御層による表面プラズモンの磁気応答 強磁性体/非磁性体/強磁性体の人工格子構造により,ナノメートル領域で発現するスピン依存現象を活用した,表面プラズモンへの磁界応答性の付与を検討した.磁性材料としてはCo多結晶薄膜を用い,上記プラズモン励起層との積層構造とした.表面プラズモンの進行波数ベクトル方向に対する印加磁界方向の検討(Faraday配置及びVoigt配置)において,Voigt配置で外部磁界を印加することによりエヴァネセント型表面プラズモンの磁気応答現象の観測に成功した.
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