センサシステムの状態(センサの位置・姿勢など)を能動的に制御しながら行うセンシングをアクティブセンシング(能動計測)と呼ぶ。アクティブセンシングは,観測空間を拡大するだけでなく,多様な計測環境に柔軟に対応可能である特徴を持つ。 本年度は,昨年度構築した実験システムを用いて提案法の有効性を検証した。 実験に用いたシステムは,分散視覚・部分アクティブネットワークシステムであり,固定カメラ,カメラ姿勢が変更可能なアクティブビジョンシステム,小型ヘリコプタにカメラを搭載したアクティブビジョンビークルから構成される。ビークル搭載カメラは無線で,他のカメラは有線でネットワーク結合される。 制御問題は,ビークルを与えられた初期位置から目標位置まで移動する単純な位置制御問題であるが,能動的な情報選択が無ければビークルの自己位置推定ができない状況下での位置制御問題とした。すなわち,初期位置では,固定カメラとアクティブビジョンが使用可能であるが,ビークル搭載カメラによる画像特徴抽出は困難であるためビークル搭載カメラは使用できない。一方,目標位置は固定カメラの視野外にあり,固定カメラからは情報が得られない。ただしアクティブビジョンは,カメラ姿勢を制御することで初期位置から目標位置までビークルを視野内に収めることができる。また,目標位置近傍では,ビークル搭載カメラによる画像特徴抽出が可能であり,それらを自己位置推定に利用することができる。このような状況下において,提案法が情報を能動的に取捨し,位置制御が達成されることを確認した。
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