ロボットは身体的に人間を支援する系であるため、人間-機械間の力学的インタラクションを陽に活用したインタフェースを構築することが望まれている。そこで本研究ではロボットの触覚センサから得られる情報に信号処理を施すことで人間の指令や意図を認識する技術を開発する。そして本技術に基づく能率的触覚コミュニケーションの実現により人間支援ロボットの操作性・親和性が向上されることを示す。 本年度はまず、「ハプティックジェスチャ」という、触覚情報に基づく独自の認識技術を実装し検証するため、全身で触覚を検知できるようセンサ類を実装した試験機を構築した。そして本試験機を用いて、短時間でより多くの情報を伝達する広帯域触覚コミュニケーションの新たな方式を検証した。本方式は、ロボットに対して作用する外力を入力信号として認識し、予め記号化された複数種類の軌道との類似性をDPマッチング法により評価することで命令を判別するものである。なぞり動作から軌跡の長さ、速度、力の強さなどの情報を抽出し、ロボットの動作と対応付けることにより、多次元情報を直感的に一動作で伝えることが可能となった。また、本技術を個人認証へと応用することで、視覚的に模倣することのできない触覚情報の特性により、安全性の高い認証が実現されることを示した。人間と共存する環境において想定される実際の支援動作がどの程度能率化可能となるかの検証を現在進めている。
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