研究概要 |
本研究課題では,超薄型光ディスクと近接場光を用いた次世代大容量光ディスク装置のための高速・高精度サーボ制御系の実現を目的としている。光ディスク記録装置の情報転送レートを向上させるために,光ディスクの回転速度を増加させると,回転速度に同期した周期外乱や,その高調波成分の影響が大きくなる。このため,より高精度なトラッキング制御技術が必要である。 平成22年度は,これまでの基本波抑圧のみで設計されたエラー予測型FF制御系に,高調波抑圧ループを適用した「高調波抑圧を考慮したエラー予測型FF制御系」を構成し,基礎実験と理論的な検証を行った。高調波成分の抑圧のために,これまでの基本波抑圧のみで設計されたエラー予測型フィードフォワード制御系の構造を,マルチサンプリング制御系の最も追従特性の良いパーフェクトトラッキング制御(PTC)系に適用し,これに高調波成分を抑圧する機構を追加することで,「高調波抑圧を考慮したエラー予測型FF制御系」を構成した。 提案する「高調波抑圧を考慮したエラー予測型FF制御系」の有効性を確認するために,既存のCD実験装置と,新たに導入したDVD実験装置にて実証実験を行い,従来の手法に比べ,トラッキングエラーの抑圧に対して有効であることを確認した。,基本波抑圧に加え,高調波抑圧を考慮した制御系を提案し,これまで到達出来なかった,高速高精度なトラッキング制御系を実現した。また,CD,DVD実験装置の両方で実験を行い,制御系の有効性を確認したことで,提案手法は一般性があり,他のトラッキング制御系に対しても広く応用可能であり,工学的,学術的に意義のあるものである。
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