近年,映像再生装置は,臨場感の高い映像と音声を取り扱えるようになるなど,急速な発展を遂げている。2025年に実施予定のスーパーハイビジョンの大容量映像情報を高品位・軽量・安価に提供するためには,高速大容量の光ディスク記録装置の開発は非常に重要な課題である。スーパーハイビジョンの伝送速度は約250Mbps以上を実現する必要がある。これは現在の第3世代光ディスクのBlu-Ray Discの標準転送レート(54Mbps)の約5倍以上の高速転送である。250Mbpsの伝送速度を実現するには光ディスクを毎分15000回転させる必要がある。 本研究では,トラッキングアクチュエータ,フォーカスアクチュエータ,トラバースアクチュエータの3つのサーボ系すべて(3次元サーボ)に対して,トラッキングエラーが5nm以下となる高速高精度トラッキングサーボ制御を行う必要がある。本研究では,従来にない新しい3次元エラー予測型高速高精度サーボ系の構成法を提案し,その実現と検証を行う。 研究成果として,サーボモータを用いた位置決めシステムにおいて,立ち上がり時間を考慮したブレーキアルゴリズム,位置指令に基づく加減速切替アルゴリズム,ゼロ速度指令に基づく切替制御の3 つの手法を提案し,これらを組み合わせることで,位置応答のアンダーシュートが抑制され,位置決めを最も短時間で完了することができた。これにより,提案法の有効性を確認した。
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