研究概要 |
非線形最適レギュレータ問題を解決するには正準方程式の2点境界値問題を解くかHJB方程式を解く必要があるが,Lyapunov安定論の方向から解析を進めるならば後者の方が有利である。しかし,HJB方程式は非線形偏微分方程式なので一般解を得ることが困難である。更に,宇宙ロボットのような非ホロノミックシステムの最適制御問題においては不連続解が許容されなくてはならないため,近似解の構成方法が問題となっている。本研究では,不連続制御則を許容する非線形最適レギュレータ問題の新しい近似解法を得るため,HJB量子化と確率過程量子化を組み合わせることを試みている。 本年度では,まず,二つの手法をそのまま組み合わせた場合にどのようなことが言えるのかを示し,HJB方程式の正定解を導く際に理論的に困難な部分があることを指摘するなど,種々の問題点を明らかにした。次に,HJB方程式の不連続解に対応した近似解法を導くべく,確率過程量子化をLevy過程へと拡張する試みをした。また,状態制約下での最適制御問題にも対応した近似解法を導く取っ掛かりとして,HJB量子化手法を指数1のHessenberg型微分代数方程式システムへと拡張する試みをした。更に,確率ハイブリッドシステムが提案手法に使用可能かどうかについて調査を行った。その後,確率過程量子化手法には理論的部分およびアルゴリズム的部分に曖昧な部分があったため,手法を洗練させLyapunov関数の構築がしやすい手法に発展させた。特に,固有関数を適切に重ね合わせるアルゴリズムを開発できたので,最適レギュレータ問題の近似解法への拡張が現実味を帯びてきた。
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