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2011 年度 実績報告書

HJB量子化と確率過程量子化の融合に基づく非線形最適制御理論の構築

研究課題

研究課題/領域番号 22760320
研究機関鹿児島大学

研究代表者

西村 悠樹  鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (20549018)

キーワード最適制御 / 非線形制御 / 安定論 / 正準量子化 / 確率過程 / 超音波モータ
研究概要

非線形最適レギュレータ問題を解決するには正準方程式の2点境界値問題を解くかHJB方程式を解く必要があるが,Lyapunov安定論の方向から解析を進めるならば後者の方が有利である。しかし,HJB方程式は非線形偏微分方程式なので一般解を得ることが困難である。更に,宇宙ロボットのような非ホロノミックシステムの最適制御問題においては不連続解が許容されなくてはならないため,近似解の構成方法が問題となっている。本研究では,不連続制御則を許容する非線形最適レギュレータ問題の新しい近似解法を得るため,HJB量子化と確率過程量子化を組み合わせることを試みている。
まず,HJB量子化手法の理論的な曖昧さについて検討し,非線形無限時間最適レギュレータへの適用可能性について研究発表を行った。更に,次年度で行う予定の超音波モータを用いた提案手法の実機実験への適用の事前準備として,制御Lyapunov関数に基づく符号の反転しないスライディングモード制御を超音波モータに適用し,その有用性を実機実験により示した。非線形最適レギュレータを導くHJB方程式の正定解は制御Lyapunov関数として考えることができるため,提案手法が完成した際には超音波モータ実機への適用可能性が見込まれる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題は,不連続制御則を許容する非線形最適レギュレータ問題の新しい近似解法を得るため,HJB量子化と確率過程量子化を組み合わせることを主目的とするものである。
本年度の成果の一つは,HJB量子化手法の理論的な曖昧さについて検討し,非線形無限時間最適レギュレータへの適用可能性について研究発表を行ったことである。これにより,本年度計画の主目的である「HJB量子化に対する新しい近似解法の提案」はおおむね達成されているものと考えられる。
また,本年度計画では球面型超音波モータの実機製作が挙げられていたが,現在所有している一軸回転型超音波モータに改良を施すことで提案手法の有用性を確認することができるとの結論に達したため,当該実験装置の駆動ドライバの改良および制御機構の新規構築を行った。
以上により,本年度はおおむね計画通りに進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

次年度は最終年度であるため,提案手法の有用性を実機実験によって確認する必要がある。提案手法の有効な改良のためには,次の三つの課題が挙げられる。
一つ目は確率システムの安定性についての更なる解析である。つまり,提案手法の保証する安定性がどのようなものであるのかを明らかにしなければならない。
二つ目は確率システムの安定化をより高速に達成する手法が求められる。これの達成により,提案手法が実用的な収束速度を持つようになるものと考えられる。
三つ目はまた超音波モータのより実際に即した制御モデルを構築することである。これの達成なくして実機実験での有用性は判定できないだろう。
以上を行った上で,超音波モータのサーボ制御により提案手法の有用性を確かめたい。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] 無限時間最適レギュレータ問題の近似解を構成するSchrodinger方程式について2011

    • 著者名/発表者名
      西村悠樹
    • 雑誌名

      日本応用数理学会論文誌

      巻: 21 ページ: 197-209

    • 査読あり
  • [学会発表] 概漸近安定性に基づく確率Lyapunov安定論2012

    • 著者名/発表者名
      西村悠樹
    • 学会等名
      第12回計測自動制御学会制御部門大会
    • 発表場所
      奈良県文化会館(奈良市)
    • 年月日
      20120314-20120316
  • [学会発表] Robust Angle Regulation for Ultrasonic Motor using CLF-based Controller2011

    • 著者名/発表者名
      西村悠樹
    • 学会等名
      The 37th Annual Conference of the IEEE Industrial Electronics Society
    • 発表場所
      メルボルン(オーストラリア)
    • 年月日
      20111107-20111110
  • [学会発表] チェインドシステムに対する大域連続確率安定化制御2011

    • 著者名/発表者名
      西村悠樹
    • 学会等名
      第40回計測自動制御学会制御理論シンポジウム
    • 発表場所
      コスモスクエア国際交流センター(大阪市)
    • 年月日
      20110926-20110928
  • [学会発表] Schroedinger equations for constructing infinite time horizon optimal regulators2011

    • 著者名/発表者名
      西村悠樹
    • 学会等名
      IFAC World Congress 2011
    • 発表場所
      ミラノ(イタリア)
    • 年月日
      20110828-20110902

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公開日: 2014-07-24  

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