研究概要 |
本研究では,離散値出力システムのための状態推定論の構築を目的とし,複数の低解像度信号から高解像度信号を推定する手法を画像処理分野の超解像処理のアイデアに基づいて構築する.本年度は,低解像度の画像信号(2次元)が出力されるシステムに焦点をあて,超解像処理のアルゴリズムを逆ハーフトーン処理および,ロボットのビジュアルサーボ制御に適用し,有用性を考察した. 1.超解像処理に基づく逆ハーフトーン処理の構築:ハーフトーン画像(2値画像)から濃淡画像を復元するシンプルかつ有効な手法を提案した.この手法は,2段階アルゴリズムとなっており,(1)複数のローパスフィルタを用いて濃淡画像を生成する,(2)生成した濃淡画像に対して超解像処理を行う,という2つの処理を組み合わせたものである.この手法は,従来手法と比べてシンプルであることに加えて,ハーフトーン処理に関する事前情報を必要としないという利点がある.さまざまな条件のもとで,復元実験を行い,提案手法が従来手法に劣らない有用な手法であることを確認した. 2.ロボットアームの超解像ビジュアルサーボ制御:低分解能カメラから得られる情報(低解像度画像)を利用してロボットアームを制御することを試みた.具体的には,超解像処理を援用したビジュアルサーボ制御を提案した.これは,複数の低解像度画像を取得し,それらから再構成される高解像度画像を利用して,制御を行うものである.手法の有用性は,実機実験によって確認した.
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