研究概要 |
透水性舗装は,近年頻発する都市水害の経済的な対策技術として期待されている舗装である.しかしながら,これを比較的交通量の多い車道に導入する場合,浸透雨水と繰返し交通荷重の作用により路盤・路床が軟弱化し,通常舗装と比べて短命化することが懸念されている.本研究では,車道透水性舗装の構造設計手法を確立するための基礎的研究として,舗装模型に対する繰返し載荷試験を通して,透水性舗装の長期変形挙動を把握する.また,模型実験を表現しうる数値解析手法の確立を目指す.本研究の成果は,雨水浸透と繰返し荷重の影響を考慮した車道透水性舗装の構造設計手法確立に貢献するものである. 平成22年度は,強度と透水性の異なる3種の路床材料で透水性舗装模型を作製し,浸水条件(下層路盤面以深を浸水)と非浸水条件の下で繰り返し平板載荷試験を実施した.載荷は直径300mmの円形載荷板により,最大49kNの正弦波荷重を1.0Hzの速さで最大100万回与えた.計測項目は載荷面の変位および路床面における鉛直応力と間隙水圧である.実験の結果,載荷回数の増大に伴う載荷面の塑性変形量は,いずれの路床材の場合も,模型の浸水によって大きく増大すること,特に粘性土路床の場合に浸水による塑性変形の増大が著しいことなどを確認した.実験条件は限定的であるが,載荷回数と塑性変形量との関係が明らかになったことで,透水性舗装の浸水条件下での長期変形挙動を把握することができた.弾性モデルを用いて模型実験の条件に対する数値解析を実施した.路床面土圧に関する数値解析結果を比較したところ,載荷回数の少ない段階では実験結果と解析結果の土圧分布の傾向は一致することを確認した。
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