研究概要 |
本年度は,昨年度に引き続き,動的荷重モデルを作成するための荷重データの振動モニタリングおよび振動・低周波騒音に配慮した橋梁に対する振動評価について検討を行った.それらの概要を以下にまとめた. ・長期モニタリングから動的荷重モデルを構築する 昨年度から継続して,実際の高速道路のPC桁橋を対象とした振動モニタリングを24時間行っている.測定項目は,主桁の加速度,支点部の変位,主桁のひずみを計測している.また,主桁のひずみから主桁上に載荷している複数の車両を載荷荷重として定義して,その荷重変化を時刻歴で記録している. ・振動・低周波騒音に配慮した橋梁に対する振動評価 本年度は,振動・低周波騒音に配慮した橋梁に対する振動評価として振動や低周波騒音を起こさない橋梁支間長および中間伸縮の有無や支承の剛性に着目した.検討した上部構造は,支間20mおよび24mの場合はプレテンション方式T桁,支間30mおよび支間40mの場合はポストテンション方式T桁とし,中間橋脚ではプレキャストPC桁をRC連結して2点支承で支持する構造とした.それらのモデル化したPC橋に対して車両走行によるシミュレーションを行い,振動応答が小さくなる橋梁について検討した.その結果,(1)PC連結桁橋として,上部構造のたわみおよびねじれ振動数が大型車両の後軸ばね上振動数より小さい支間を選定するのがよい.(2)上部構造の交通振動を低減するには,支間によらず,波長5~11mの路面凹凸を低減するのがよい.(3)橋脚の交通振動に及ぼす上部構造の支間の影響は顕著でない.(4)地盤振動の発生源となる橋脚の交通振動をより少なくするためには,小振幅域での橋軸剛性の高いゴム支承を採用するのがよいが,橋軸水平振動の固有振動数と上部構造のたわみまたはねじれ振動数が近接しないように配慮する必要もある.(5)ゴム支承の鉛直剛性を小さくすると,上部構造の交通振動は大きくなるが橋脚の交通振動は小さくなる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一般の交通状況下における長期モニタリングから走行車両のばね振動分布を求め,簡単な2自由度モデルなどに置き換えて動的荷重モデルを構築していく予定であるが,現在,カルマンフィルターを用いた走行車両の外力特性を把握するプログラムを作成中であるが,その作成が遅れているためである.
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