本年度は,実際に振動問題が生じていたRC中空床版橋に対して,床版上面増厚による補強工事を実施した結果,周辺地盤の振動が低減した事例をもとにして,振動の原因と対策効果さらには改善された状態を維持する方法について検討を行った.それらの概要を以下にまとめた. 振動問題が生じていたRC中空床版橋において,床版上面増厚による補強工事を実施した結果,周辺地盤の振動が低減していることが確認された.その振動低減の原因としては,上面増厚による曲げ剛性の向上が挙げられるが,解析上その影響は小さく,高架橋の周辺地盤は,橋台上の路面平坦性の影響が大きいことがわかった.このため,路面の平坦性をいくつかの手法で評価して,その相関関係を評価するとともに,地盤振動を評価するための最も合理的な評価方法を検証した. その検証に際しては上面増厚後の橋梁をモデル化し,走行荷重による地盤振動のシミュレーション解析を行った.この結果については,実測結果と比較することにより,路面平坦性も含めて実橋を反映したモデルであることを確認した.橋台上の路面平坦性が地盤振動に対して与える影響については,同一の形式の橋台上で計測した数パターンの路面凹凸を用いて解析を行い,路面平坦性と地盤振動との関係を比較することにより行った. その平坦性と地盤振動との関係から,地盤振動問題を考える際の路面平坦性の評価方法としては,路面凹凸の形状や車両のバネ下振動特性を考慮した評価長10m区間におけるIRI_10による評価方法が望ましく,このIRI_10と地盤振動との関係を用いれば,この地域における地盤振動に対する路面管理に役立つ指標であることが明らかとなった.
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