研究概要 |
本研究は、地震災害時における道路情報を迅速に把握する仕組みとして、GPS内蔵カーナビゲーションシステムを搭載した被災地内を走行する車両に着目し、走行車情報から被災地内の道路被害箇所を推定するアルゴリズムの開発と、このアルゴリズムを搭載した道路被害推定プロトタイプシステムの構築を行うものである。平成22年度は、下記の3項目について研究を実施した。 【道路被害と車両走行パターンの分析】 地震災害時に想定される道路被害と車両走行パターンについて、既往の研究成果をベースに分類し、走行パターンからどういった被害の抽出が可能なのか整理した。次に自動抽出が可能なアルゴリズムについて検討を行った。 【車両走行データの計測・分析】 上記のパターンを分類できる適切な車両走行データが得られるような計測・分析方法について検討した。GPS/ジャイロ/加速度センサーからなる計測装置を用いて、主に土砂災害を想定した道路閉塞箇所を迂回する反対車線走行、完全な道路閉塞箇所の前でのUターン走行、道路橋の橋台部での段差を想定した段差走行のパターン別のデータを収集し、分析を行った。 【道路状況判別アルゴリズムの検討】 得られたプローブカーデータ(緯度経度,時間,方向,速度,加速度など)を使い、適切な道路被害状況の判別のためのアルゴリズムの検討を行った。その結果、閾値を決めて判別する方法ではドライバーの個人差が大きいため、判別が困難であることが示された。従って、ドライバーの運転特性に影響を受けないアルゴリズムの開発が必要であり、この点については次年度の検討課題とする。
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