研究課題
土構造物の利点(経済性・環境適合性)を生かしながら、その高度利用を実現するために様々な補強土工法が開発されてきた。その内、ジオグリッドなどの面状補強材を主体としたジオシンセティックス補強盛土は、鉄道橋台・擁壁や重要構造物基礎として既に実用化されている。一方、立体的なハニカム構造を有するジオセルは、主に基礎地盤に対して上載圧を分散させる機能を期待した利用がほとんどであり、ジオセルの水平アンカー力やセル壁面の摩擦力を生かして引張り補強材として積極的に補強土構造物に利用する試みはこれまでなかった。ジオセルはセルの高さがかなり大きく目の開きの相当大きいことから、かなり大粒径の盛土材もセル内に入れることができる。このため、ジオセルの場合は従来の面状補強材と比較して基本的なアンカー力は大きくなる上、大粒径の盛土材に対応できると考えられる。一方、ジオグリッドなどの従来の面状補強材では盛土材料の粒径が大きくなると補強材との噛み合わせが低下する可能性がある。初年度(平成22年度)の研究では、上記を踏まえ、ジオセルを含む3種類の補強材の土中引き抜き試験を、粒径が異なる4種類の地盤材料の盛土模型で行った。その結果、基本的に盛土材粒径の大きさと共に引き抜け抵抗は増加するが、従来の面状補強材を用いた場合は、粒径が大きすぎると引き抜け抵抗が低下する可能性があることが分かった。一方、ジオセル補強材の場合、粒径の大きさに対する引き抜け抵抗の限界が確認されたが、剛性が高くなることとジオセル高さを大きくすることで、より大きな抵抗を発揮できる可能性が明らかになった。
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ジオシンセティックス論文集
巻: 25巻 ページ: 147-152
Proc.of the 9th International Conference on Geosynthetics
ページ: 1659-1664