研究課題/領域番号 |
22760360
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
小林 義和 日本大学, 理工学部, 准教授 (20339253)
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キーワード | 粒子法 / 有限要素法 / 混合法 / 壁関数 / HMPS / 境界条件 / 解析力学 / ハミルトニアン |
研究概要 |
平成23年度は、解析の安定性をより向上させるため、大変形領域を対象とした粒子法をMPS(Moving Particle Semi-implicit)からHMPS(Hamiltonian Moving Particle Semi-implicit)へ変更した。この変更に伴い、粒子法領域の支配方程式がNavier-Stokes方程式などの力の釣り合いに基づく記述から、解析力学に基づく記述となった。これに伴い、有限要素法領域との境界条件についても、解析力学に基づいてHamiltonianに含む形式で記述することが必要となったため、解析力学における境界条件の取り扱いについて検討を行った。この結果、有限要素法領域と粒子法領域を結びつける境界条件の記述には、特別な取り扱いが必要となる可能性があり、より詳細な検討が必要なことが明らかとなった。また、研究計画において、平成22年度に導入された計算機により、GPGPUによる解析の効率化を図る予定であったが、HMPSについては、いまだその基礎理論について検討を進めている段階であるため、平成23年度には、手法としては異なるが、粒状体の力学に基づいた手法であるDEM(Discrete Element Method)のGPGPUによる解析の高速化について検討を実施した。本検討では、GPGPUの導入によってある程度の速度向上が認められ、その有効性を確認したが、GPGPUによる解析の効率化については、いまだ性能向上の余地が多く、より詳細な検討が必要であることを示唆する結果となった。このGPGPUによる解析の効率化については、DEMだけではなく、HMPSにおいても応用することが必要な技術であるため、DEMによる解析効率の向上を通じ、HMPSにおける解析効率の向上を示唆する結果を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、粒子法としてMPS(Moving Particle Semi-implicit)法を採用する予定であったが、数値的な安定性、エネルギーの保存性などに鑑み、手法をMPSからHMPS(Hamiltonian Moving Particle Semi-implicit)法に手法を変更したため、当初の予定と比較し若干の進捗の遅れが出ている。しかし、この変更によって、より安定した数値解析手法の開発が可能になると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定から採用する粒子法を変更したことから、基礎的な検討を含む理論的な再構築をする必要が生じたため、研究進捗に若干の遅れは出ているが、その基本的な部分に対する検討は進んでいる。今後は、その検討内容に基づき、速やかに解析手法の開発を進め、解析を実施する予定である。
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