衛星降水マップのさらなる改良のため、マップ作成に重要な役割を果たしている熱帯降雨観測衛星(TRMM)に搭載の降雨レーダ(PR)の最新プロダクトVersion7(V7)を評価した。V7は、更新前のVersion6(V6)と比べて、陸上での50mm/h以上の強い雨が増えており、中には300mm/hという非常に強い雨の推定値も存在している。一部には、グラウンドクラッタを雨と見間違えたケースがあるが、大部分については、明らかな誤りとは言えない。強い雨の推定値が増えたことは、表面参照法の改良の結果として説明できる。続いて、V7の強い雨の推定値を、PRが推定する降水強度のタイムスケールに近い1分間解像度を持つ日本域の雨量計データを用いて検証した。50mm/h以上の推定値はやや過大評価とみられるが、そのバイアスは+50%を超えないと結論できた。次に、GSMaP作成に用いられるマイクロ波放射計が表層土壌水分量にも感度を持つことに着目し、マイクロ波放射計による輝度温度観測値の変化から観測間における降水の有無を判定する手法を開発した。現在GSMaPの作成の際、マイクロ波放射計の観測のない時間帯について、赤外放射計の観測により補っているが、今回開発した手法は、植生の少ない場所では、現手法と同等に近い精度を示した
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