研究概要 |
急傾斜水路で生じる空気混入流中にバッフルブロックや物体が設置されている場合がある.バッフルブロックや物体には流体力が作用する.また,近年,市街地化された都市部で豪雨による地下街・地下室等の地下空間への浸水被害が増加している.地下空間への浸水が生じると,地上と地下空間とを結ぶ階段を氾濫水が流入し,5から6段の階段を流下すると高速の空気混入流となり,階段上や地下空間の物体には流体力が作用する.さらに,階段を使用して避難しようとする人の脚部へ空気混入流による流体力が作用し,歩行を阻害する要因となる.すなわち,水工設計上,空気混入流中の物体に作用する流体力の大きさを知ることが重要となる. 従来,空気中や水中の物体の抗力係数評価法は確立されている.しかしながら,水と空気が混在した空気混入流中の物体の抗力係数と抗力の評価法については不明である.すなわち,空気混入流中の物体の抗力が水のみの流れの中の物体の抗力に比べて大きくなるのか小さくなるのかについても全く明らかにされていない.本研究課題は空気混入流中の物体の抗力係数を明らかにすることを目的としている. 平成22年度の研究実績を以下に示す. ・空気混入流の特性量を用いた空気混入流中の物体の抗力係数評価法を確立した. ・水路傾斜角度θ=30°の階段状水路を用いて,柱状物体(円柱,角柱,菱形柱)の抗力係数を明らかにした.円柱と菱形柱の抗力係数はほぼ同じ大きさであり,角柱の抗力得係数は円柱と菱形柱よりも大きいことが示された.また,それらの抗力係数の大きさが示された. ・空気混入流中の物体の抗力係数は空気流中の柱状物体の抗力係数よりも小さいことが示された.
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