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2011 年度 実績報告書

砕波混相乱流ダイナミクスに基づく高精度沿岸物質輸送モデルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22760378
研究機関独立行政法人土木研究所

研究代表者

大塚 淳一  独立行政法人土木研究所, 寒地土木研究所・寒地水圏研究グループ・寒冷沿岸域チーム, 研究員 (50540556)

キーワード砕波 / 乱流 / 漂砂 / PIV
研究概要

平成23年度は移動床を設置した造波水路において砕波帯の流速場と浮遊砂濃度を計測し,乱れの強さと底質の浮遊量・輸送過程との関係を計測結果のアンサンブル平均値をベースに評価した.流速場と浮遊砂濃度の計測はそれぞれParticle Image Velocimetry(PIV)と光学式濁度計を使用して行った.得られた結果を以下に示す.砕波クレスト通過後,戻り流れによって計測領域よりも岸側で発達した比較的強い乱れエネルギーが次の波浪が来襲する直前まで沖方向へ輸送される.この戻り流れによって輸送される乱れエネルギーは底面近傍まで到達し底質の浮遊・拡散に大きく寄与する.砕波クレスト通過後,乱れが発達する時間スケールは砕波形式と水深によって大きく異なり,崩れ波砕波では水深の減少に伴い乱れが発達する時間スケールは増加し,巻き波砕波では減少する.本実験条件では,巻き波砕波の底面近傍における乱れエネルギーと浮遊砂濃度は崩れ波砕波よりも大きな値を示す一方,水平流速を比較した場合,両砕波形式で大きな違いは確認されなかった.この結果は乱れの生成には砕波形式が強く関与していること,さらに,砕波帯における浮遊砂濃度の推定には従来用いられてきた流速をベースとしたパラメータのみでは不十分であり,乱れを陽的に与えた浮遊砂濃度の鉛直フラックスが必要であることを意味する.固定床水路における砕波帯の流速場に関する情報は比較的多く報告されていたが,得られた情報から底質の浮遊量・輸送過程を評価することが困難であった.移動床水路における砕波帯の乱れと浮遊砂濃度の関係をアンサンブル平均値をベースとして評価することにより,これまで不明な点が多かった砕波により生じる乱れが底質の浮遊量や輸送過程に与える影響を特徴化することに成功した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度まで得られた成果によって,砕波帯の局所底質輸送モデルで必要なパラメータの抽出およびパラメータの決定に必要な砕波による乱れと浮遊砂濃度との関係をおおよそ推定することが可能となった.

今後の研究の推進方策

研究はおおむね予定通り進んでおり研究計画の変更は必要ない.次年度はこれまで得られた情報をベースに浮遊砂輸送に関する局所モデルの各パラメータを確定し,広域モデルへの拡張を進める.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] 移動床砕波帯の流速場時空間変動と底質輸送に関する実験的研究2012

    • 著者名/発表者名
      大塚淳一, 渡部靖憲, 林倫史
    • 雑誌名

      土木学会論文集B2(海岸工学)

      巻: 68(採択済)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 内部ケルビン波の砕波により誘起される流れ2012

    • 著者名/発表者名
      中山恵一, 渡部靖憲, 大塚淳一, ほか
    • 雑誌名

      土木学会論文集B2(海岸工学)

      巻: 68(採択済)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] オホーツク海の流氷現象が波浪に与える影響2011

    • 著者名/発表者名
      菅原吉浩, 大塚淳一, ほか
    • 雑誌名

      土木学会論文集B3(海洋開発)

      巻: 67 ページ: 1009-1014

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 砕波帯における浮遊砂速度と浮遊砂フラックスの計測2011

    • 著者名/発表者名
      大塚淳一, 渡部靖憲
    • 雑誌名

      土木学会論文集B2(海岸工学)

      巻: 67 ページ: 91-95

    • 査読あり
  • [学会発表] Wave flume-based evaluation of suspended sand transport in breaking waves2012

    • 著者名/発表者名
      Junichi Otsuka
    • 学会等名
      The 33rd International Conference on Coastal Engineering
    • 発表場所
      Spain Santander(掲載確定)
    • 年月日
      20120700
  • [学会発表] Particle size and sources of suspended sediment from mountain to coastal area2012

    • 著者名/発表者名
      Shigeru Mizugaki
    • 学会等名
      平成24年度砂防学会研究発表会国際セッション
    • 発表場所
      高知県高知市
    • 年月日
      20120500
  • [学会発表] 放射性同位体トレーサーを用いた流域スケールの浮遊土砂生産源推定2012

    • 著者名/発表者名
      水垣滋
    • 学会等名
      第123回日本森林学会大会
    • 発表場所
      栃木県宇都宮市
    • 年月日
      20120300
  • [学会発表] 砕波帯における浮遊砂速度と浮遊砂フラックスの計測2011

    • 著者名/発表者名
      大塚淳一
    • 学会等名
      第58回海岸工学講演会
    • 発表場所
      岩手県盛岡市
    • 年月日
      20111100
  • [学会発表] オホーツク海の流氷現象が波浪に与える影響2011

    • 著者名/発表者名
      菅原吉浩
    • 学会等名
      第36回海洋開発シンポジウム
    • 発表場所
      愛媛県松山市
    • 年月日
      20110600

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公開日: 2013-06-26  

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