研究課題
平成25年度は,先方の事情により滞っていたスウェーデン,ドイツ,日本における子連れ外出困難度合い認知調査をWEBアンケートとして実施した.サンプルサイズは各国300名ずつとし,公共交通の整備度合いなど地域差をできる限り統制するため,各国の首都圏に居住する20代,30代,40代の男女をターゲットとした.調査項目は,ベビーカー利用時に周囲の人に受けた支援内容,ベビーカー連れ外出における移動時満足度(STS),そして「公共交通内で席を譲る」「子どもが騒いでいたら注意する」という二つの協力行動の実施頻度,規範についてである.分析の結果,我が国ではベビーカー利用時に周囲の人の支援を受けた経験が他国に比べ圧倒的に少ない(何も支援を受けたことがない人が日本は53.4%,スウェーデン20.2%,ドイツ29.2%)ことが示された.ベビーカー連れ外出における移動時満足感については,日本と比較して,ドイツでのベビーカー連れの移動は「落ち着いた」「くつろいだ」というよりは,「わくわくする」「楽しみな」ものであり,スウェーデンでは「落ち着いた」「くつろいだ」ものであることが示された.さらに,ベビーカー連れSTSに周囲の対応がどのように影響しているかを分析したところ,ベビーカー連れでの移動時に周囲の人々から受けた支援経験や,「周囲の人は席を譲ったり,子供が騒いだら注意している」などといった記述的規範の知覚が,ベビーカー連れのSTSに影響していることが示された.このことは,支援経験や記述的規範の種類は国によって異なるものの,支援を受けたり,周囲が席を譲ってくれていると感じることで,ベビーカー連れの移動時幸福感は高まることを意味している.ただし,日本人のベビーカー連れの認知的幸福感は,周囲の人々の対応の影響を受けていなかった.この解釈についてはいくつかの可能性が考えられるが,さらなる調査研究が必要である.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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交通工学
巻: vol.49, No.1, 2014年1月号 ページ: 4-9
運輸政策研究
巻: Vol.16 No.2 ページ: 58-61