研究概要 |
本研究は、交通システム、活動機会、個人の活動スケジュールの制約条件を考慮して、活動への参加しやすさを表現する時空間アクセシビリティの理論に基づき、時間制約の強い世帯の制約条件を緩和し日常生活活動へのアクセシビリティを向上させるための多様な施策の立案と評価を行うことを目的とした。具体的には、(1)日常生活において時間制約の強い世帯はいかなる制約を有し、いかに仕事とその他の活動を両立させているのか、(2)それらの世帯の具体的な活動への時空間アクセシビリティをいかに定量化し分析するシステムを構築することができるか、(3)それらの世帯の活動を支援するための施策はいかなるもので、どのような効果を発揮するか、という点を明らかにするものである。 国内外の既存文献・研究のレビューおよびインタビュー調査を通して、子育て共働き世帯、遠距離通勤世帯をはじめ、日常生活において強い時空間制約を有する世帯の制約条件に関して、世帯の活動スケジュール、交通システム、活動機会に分類した体系的な整理を行った上で、時空間アクセシビリティ理論の再整理を行った。続いて、東京都心部、東京周辺部、北関東の3地域に居住し、小学校入学前の乳幼児・児童を持つ子育て中の母親1,000名に対して実施したアンケート調査データを分析し、居住地および個人・世帯特性の違いによる、外出目的別の交通手段と外出頻度、バリアに対する意識の違いを明らかにした。また、複数の自治体の職員を対象に、Webベースの活動交通シミュレーターを適用し、時差勤務の導入可能性を検討した。
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